法華千部会

千部会とは、祈願・追善・報恩などのために、壱千部の経典を読誦する法会のことだ。日蓮宗においては、全国各地から集まった多数の僧侶が法華経一部を省略せずに壱千回読誦することから「法華千部会」と称され、一般には「お千部」とも呼ばれている。妙法寺における「千部会」は、古くから江戸市中の年中行事として定着し「千部講中」が作られ、それらの各講中が施主となって盛大な法会が営まれていた。以来、200余年にわたり、妙法寺お千部は江戸市民にとっての祭り的側面を受け継ぎながら現代も広く一般の人々が千部施主となり、その浄財によって営まれている。

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妙法寺(みょうほうじ)
千部会開始前の大広間には経文を載せた机が沢山
千部会は雅楽の演奏で始まる
 
法華千部会を拝観する  妙法寺は環七のバス停「堀の内」付近に立っている宝塔から数分中に入ったところにある。交通の激しい環七の騒音からは完全に遮断された広い敷地と立派な堂宇を持ったお寺だ。前もって撮影の許可を得ていたので、腕章を付けて千部会の行われる祖師堂大広間に案内される。其処には小机が100あまり、机上には経典とお茶が乗せられていて千部会の開始を待っている。午前10時、太鼓の合図で15~6人の僧侶が着席して雅楽を始める。笙、篳篥(ひちりき)、龍笛の合奏だ。
 
 
妙法寺の法華千部会  妙法寺では5月10日前夜祭の提灯行列に始まり、11日~13日の3日間に、家内安全厄除け祈願、世界平和祈願、伊豆法難会、施餓鬼総供養として一の巻から八の巻が読誦される。3日間にわたり大勢の僧侶が読経する様子は壮観で荘厳だ。法華千部会の起源は遠く奈良時代にまで遡るといわれている。
 
散華行道(さんげぎょうどう)  千部会の読誦の合間に僧侶全員が広間を巡回し始める。散華行道だ。手に手に、紙製の五色の蓮華の花弁を乗せた華筥(けこ)を持ち、声明(しょうみょう)に合わせながら蓮華の花を撒き散らすのだ。華筥(けこ)は、昔は竹製の籠だったが現在は多くは下に飾り紐をつけた金属製の透かし彫りの皿になっている。

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千部会と散華行道  やがて大勢の僧侶が入場して来て小机の前に着席するが、祖師堂入口側には柿色の衣を着た僧侶が一列に並び、その右端に座られた紫の法衣に金色の烏帽子を被った方が当寺の住職のようだ。読誦が始まる。100人以上の僧侶たちの一斉朗読だ。木鉦(もくしょう)にあわせ一人一人が大きな声を張り上げ、中には木鉦にあわせ首を振りながらリズムを取って読んでいる人も居る。時々鐘の音が入るのだが聞いているうちに没我感というのか、次第に無想の境地に引き込まれて行くような感じだ。11時になると全員が立ち上がり手に手に華筥(けこ)を持って散華行道(さんげぎょうどう)を始める。華筥には紙製の五色の蓮華の花弁が載せられていて堂内を廻って信者達に撒くのだ。全員が2回ほど廻ったのだろうか、殆どの華筥には蓮華が無くなっている。気がついてみると堂内は千部施主である信者たちで埋まっていて、本尊前では何回も集団が入れ替わっている。散華行道が終わると再び千部会の読誦だ。
 
読誦が終わった僧侶たちはご本尊に礼拝を済ませて退場し千部会は終了する
千部会終了後も木鉦(写真手前の丸い楽器)に合わせ念仏を唱え続ける千部施主たち
 
妙法寺前の七環までの道は車両通行止めになり、市が立つ。江戸の昔からの由緒ある祭りの貫禄だ
 
千部会の終了  午前11時半、柿色の法衣を着たお坊さん達が本尊前で礼拝を済ませて退場し、最後に雅楽のグループが出て行って千部会は終了するが、千部施主達は木鉦に合わせてなお読経を続けている。祖師堂を出ると境内の露店が目に付く。通常のお祭りの露店と違い食べ物屋は無く、桶、ザル、俎、農機具、帽子やお碗、それに野菜類や植木などが簡単な台の上に乗せられて売られていて、まるで小型の世田谷ボロ市のようだ。寺前から七環までは車両通行止めになっていて様々な露店が「祭礼市」のような形を作っている。江戸の昔から土地に根付いた由緒ある大きな祭りだからこそ交通止めも許容されるのだろう。
 
妙法寺(みょうほうじ)  3百数十年前は元真言宗の尼寺だったが、覚仙院日逕上人は老母妙仙院日圓法尼の菩提のため、日蓮宗に改宗し、老母を開山とし、日逕上人自らは開基第二祖となった。山号は開山日圓上人にちなみ日圓山とし、寺号を妙法寺と号した。杉並区にある日蓮宗の本山(由緒寺院)。「(堀之内)やくよけ祖師」(おそっさん)と呼ばれ厄除けのご利益がある寺院として江戸時代から知られ、全国から大勢の参拝者があり現在でも参拝するものが多い。古典落語「堀之内」の題材にもなるなど、街の顔にもなっている。
 
5月11~13日   堀之内妙法寺(℡03-3313-6241
    杉並区堀ノ内3-48-8 (JR阿佐ヶ谷、渋谷行きバス→堀の内)
 

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