紙貼り地蔵

彼岸行事の1つとして地蔵尊への紙貼りという習俗がある。世田谷の勝国寺の山門入口にある地蔵堂には、東面地蔵と呼ばれる大きな石地蔵があり、全身が真っ白になるほどベタベタと紙札が貼られ、あたかも白い着物でもまとっているかのようだ。勝国寺では毎年、9月の秋彼岸の中日に、幼死者や水子霊の追善供養法要を行い、この紙札には子供を亡くした親たちが、死んだ子供の法名を書き入れて、その菩提供養のために貼られたものだ。紙貼り地蔵の習俗は中央区日本橋人形町にある、大観音寺の「本願地蔵」においてもおこなわれている。

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まるで白い着物を着ているように体中に紙を貼られた東面地蔵
大勢の参会者を集め地蔵堂の前で行われる幼霊供養
 
大観音寺の「本願地蔵」  「願いの地蔵」とも呼ばれ、願い事を紙片に書き入れて堂内の壁に貼っておけば諸願成就といわれているが、祈願者は子を亡くした母親や、水子を産んだ女性、妊娠中絶の経験者らが多く、地蔵尊直接でなく地蔵堂壁が真っ白になるくらいの、夥しい数の紙札が貼られる。年末24日にお焚き上げする。
 
勝国寺 青龍山・真言宗豊山派、入り口に屋根つきの地蔵堂があり「東面地蔵」が祀られて意る。玉川88 ヵ所の48番札所。本尊は不動明王立像で1592作。開基は世田谷領主5代目吉良政忠で1554の創建といい吉良氏の祈願所となっていた。本堂の左に薬師堂がある。
 
ご利益札を渡す  ご焼香が終わると参会者一人一人に「ご利益札」が授けられる。その横では住職と別の僧侶が「お饅頭」と「ゆで栗」を渡していて皆押頂いている。参会者は檀家なのだろうが、それぞれが親しく僧侶と会話を交わしていて寺と檀家の結びつきが密接なことを思わせる。
 
紙貼り地蔵風景  彼岸の中日、ここ勝国寺では大勢の墓参客が訪れ、線香の煙が絶えない。午後1時、本堂内で先祖供養が行われ、それが終わると山門入り口左にある東面地蔵堂の前で幼霊供養が始まる。堂前にはご詠歌の婦人たち10名位が席を取り、最初とご焼香時にご詠歌を奉ずる。やがて大勢の参会者を引き連れた僧侶3名が見事な生花で飾られた地蔵堂の前に着き、読経を始める。読経の間中、地蔵には幼死者の戒名が書かれた紙札が貼りつけて行かれ、これが終わると参会者全員のご焼香に移る。焼香の終わった人たちには3人の僧侶が、ご利益札、栗、まんじゅうを手渡す。紙札を貼られた地蔵さんはまるで白い着物を着たような感じになるが子供を亡くした人たちがこんなに大勢居るものだろうかと驚く。
 
幼死者の供養  7歳以下の幼死者は、せっかくこの世に生をさずかったのに、長い人生のほんの入口で夭折することの無念さ、現世への強い思いを残して去ったという浮かばれがたい霊魂なので、悪しき御霊への転化の危険性をも秘めている。俗にいう「水子の祟り」で、特別な供養への配慮が求められた。その特別な供養のひとつが、地蔵尊への紙貼りで、彼岸の先祖祭祀の一環として行われるものだ。 紙貼りは、例えば奈良新薬師寺では、自分の体の具合が悪い所と同じ場所に地蔵に紙を貼ると病気が治る、と厚く信仰されていたようにわが国では古くから全国的に行われていた習俗だ。
 
彼岸の中日   勝国寺(℡03-3420-2488)
世田谷区世田谷4-27-4 (世田谷線・世田谷)
 

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