三の酉

11月の酉の日は「おおとり」と名のつく神社の祭礼で、東京では15を超える神社で酉の市が立つが、浅草ではお寺の「おとりさま」にも御利益が願える。浅草鷲神社に隣接する「酉の寺長国寺」がそれで、開山当時より11月酉の日に、大本山鷲山寺(じゅせんじ)の鎮守である鷲妙見大菩薩[わしみょうけんだいぼさつ・またの名を鷲大明神(わしだいみょうじん)]の出開帳が行われ、その日は、多くの参詣者の厚い信仰を集めて門前に市が立つようになり、それが浅草「酉の市」の発端となったといわれている。三の酉がある年は火事災難が多いという故事にちなんで酉の寺長国寺からは、火消しの纏いに見立てた「火除守り」が授与される。

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酉の寺長国寺の賑々しい山門
混雑の中で大熊手を担ぐのも大変
 
纏い(まとい) のお守り  「三の酉まである年は火事や、災いが多い」との故事にならい、三の酉の年にだけ酉の寺長國寺から授与される、火難、災難よけのお守り。江戸火消しのシンボル、纏い(まとい)に見立ててある。

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長国寺の酉の市 鷲妙見大菩薩は江戸庶民より「おとりさま」と呼び親しまれ、長國寺も浅草田圃「酉の寺」の名で親しまれてきた。鷲妙見大菩薩(鷲大明神)は明和8年(1771)に大本山鷲山寺の第50世でもある、長國寺第13世・日玄(にちげん)上人により千葉の大本山鷲山寺から当山へ迎え移し祀られた。当時は本堂のほかに諸堂を配した大伽藍があり、鷲妙見大菩薩が安置された番神堂(ばんじんどう)は、以後妙見堂、鷲大明神の社、鷲の宮とも呼ばれるようになった。この頃から江戸浅草の酉の市は一段と賑わいを増し、今日まで受け継がれている。明治初年の神仏分離令により、当山は、境内を含め寺と鷲神社とに分割された。明治以降、山号の本立山を鷲在山と改め、鷲妙見大菩薩は現在も長國寺に安置され、11月酉の日には多くの参詣者を集め、ご開帳の法要が厳粛盛大にとり行われている。
 
長国寺  江戸時代、寛永7年(1630)に石田三成の遺子といわれる、大本山-長國山鷲山寺(じゅせんじ)第13世・日乾(にちけん)上人によって浅草寺町に 開山された。寛文9年(1669)には坂本伝衛門氏の後ろだてにより、新吉原の西隣にあたる現在の地に移転し、今日に至っている。
 
三の酉の年は火事が多い  下谷長国寺から独立した鷲神社は、吉原遊廓のすぐ傍で大いに賑わい、11月の酉の大祭には吉原の大門も四方を開けて手軽に入れるようになった。“火事が多い”説はこの頃から出たのではないかと云われている。お酉さまの参詣の帰りに、男が吉原に寄ることが多く、留守を預かる女性としては、 3回もお酉さまがあったのではたまったものではないと亭主を家に引き戻すために、三の酉のあるときは「火事が多い」とか「吉原遊廓に異変が起こる」という俗信を作って、男性の足を引き止めようとしたと云うのだ。吉原の大火が発生したのは明治44年、美華登楼から出た火は南の烈風にあおられ、吉原遊廓全体はもとより、山谷から南千住にかけて延焼し、10時間余にわたって燃え続け、6550戸を焼失したが、この年は三の酉は無く、実際に、三の酉のときに火事が増えたという記録も無い。
 
酉の寺長国寺三の酉風景  神社のお祭りである「お酉さま」に何故お寺が?と不思議に思っていたが、神仏一体時代、別堂「番神堂」に祀られていた鷲大明神が神仏分離で神社と寺に別れたものと知って納得した。今まで浅草鷲神社には度々行っているのだが、同じ歩道の少し三ノ輪寄り先に賑々しく飾っている「酉の寺長国寺」山門にも全く気付かなかった。その山門をくぐると正面突き当りが本堂で、大香炉を取り囲むように人々が何列も列を作ってお参りしている。右隣にはお札の授与所があり「本年三の酉に限って特別授与される火除け護り」にまた行列が出来ている。日本人が特別に信仰心が強いとは思わないが、お祭り好きというのか、こうした行事には想像以上に関心があり、今日の三の酉の人出は驚くばかりだ。好天気に恵まれ三の酉だけが土曜日に当ったせいもあるのだろうが、地下鉄三ノ輪駅から酉の市までおよそ1000メートル以上はあると思うが、酉の市側の歩道は隙間無く露店が並んでいることもあって、引きもきらない集団の移動という感じで参詣客が続き混雑を極めている。とくに神社前は身動き出来ないくらいで、いずれ入場制限が始まるかもしれないと思えるほど。熊手市は中に入ると寺、神社の区別は無いように見えるが、熊手の柄には神社名、寺名が書かれているので何らかの境界はあるのだろう。あちらこちらから威勢の良い手締めが聞こえるが、担ぐような大きな熊手の買主は店屋や会社関係が多いようだ。
 
 
 
11月三の酉の日   酉の寺長国寺(℡03-3872-1667
              台東区千束3-19-6(地下鉄日比谷線・三ノ輪・入谷)

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