杉山検校祭

5月18日は江戸時代の盲目の鍼師、杉山検校の命日にあたり、江島杉山神社で杉山検校祭が行われる。10才で失明した検校は江戸に出て鍼術を学んで鍼師になり、5代将軍綱吉の病気を治したことから、現在の江島杉山神社のある地に邸と禄を与えられ、関東総検校に任ぜられた。後に管に鍼を入れて治療する管鍼術を開発し杉山流管鍼技法を完成させた。杉山検校祭は、鍼治学問所を開き、多くの弟子を育て世界初の視覚障害者教育の場、職業の確立を進めた杉山検校の遺徳をしのんで明治35年に杉山報恩講によって始められ、昭和5年に杉山検校遺徳顕彰会によって受け継がれ2010で80周年を迎える。午前中、「杉山真伝流」の講習会が催され、午後には杉山祭式典に続き特別講演会が行われ、後、琵琶演奏が奉納される。なお、2010年は杉山和一生誕400年にあたり盛大なイベントが期待されている。

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杉山検校祭祭礼  参列者は顕彰会の人たちで午後1時、大大鼓にはじまり、修祓、献饌、祝詞奏上、玉串奉奠、撤饌と時々笙の音を交えながら式典は進行する。そして神酒乾杯、田部裕子宮司挨拶、和久田顕彰会長挨拶に続き藤沢市江島神社相原圀彦宮司をはじめ多数の来賓祝辞を受ける。これ等の挨拶の中で、2010年は杉山和一生誕400年祭、杉山検校遺徳顕彰会の80周年を迎え数々の記念行事を期待する発言が相次いだ。それに最近では鍼灸師への希望者が多く、今年2月に行われた国家試験では4000人もの合格者を出したという。世界的不況を反映した現象で、それだけ競争も激しくなるわけだが、管鍼術を考案し視覚障害者に、あんま・鍼の道を諭した杉山総検校もさぞ喜んでいることだろう。午後2時からは約1時間、内田氏により特別講演が行われた。
 
岩佐鶴丈氏琵琶演奏奉納   特別講演が終わると田部宮司により、あらためて修祓が行われ、琵琶演奏奉納の祝詞が奏上されて岩佐鶴丈氏の薩摩琵琶演奏が始まる。当神社には平家琵琶(さざなみ)が保存されており、また、記録によると、以前は検校祭の式典が終わると琵琶会が催されたという歴史的な背景があるからだろう。戦前、ピアノ、バイオリン、フルートといった洋楽器は世間には殆ど普及されて居らず、戦前育ちの世代には琵琶の音は決して縁遠い存在では無かった。岩佐氏は薩摩琵琶鶴田流琵琶演奏家で日本琵琶楽コンクール1位、NHK会長賞、文部大臣奨励賞など数々の賞に輝く我国屈指の名演奏家だ。演目が平家物語「壇の浦」だったせいもあるのだろうが、哀調を帯びた音色と勇ましい吟声が古く忘れ去った記憶を揺り戻してくれる。それにこの名演奏家の琵琶を目の当たりにし、直近で写真まで撮れた幸運に感謝する。
 

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大浦慈観氏による杉山真伝流の実技講習  午前中、始めに講義、後、実技。講師の大浦氏は北里研究所東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員・いやしの道協会師範だ。参加者は50名位、年齢層はまちまちで中には若い女性もいる。鍼というと筋肉の痛み等整形外科的治療を連想するが、ここで実技を見学していると、内蔵疾患が主で患者の体に触ったり舌を診るだけでその人の体調の傾向が分かるらしい。
 
江島杉山神社  祭神・神奈川県藤沢市の江ノ島弁財天(市杵島比売命)と、鍼術の神様・杉山和一(1610~94年)総検校。元禄6年6月18日、杉山総検校が5代将軍徳川綱吉の命により一つ目のこの所に屋敷を与えられ、藤沢江島神社の分霊を祀ることを許された。音楽芸能成就、鍼道の神として全国の盲人の信仰が厚い。
 
弁財天と杉山和一との関係  杉山和一は三重県津市の出身で江戸時代初期の人。幼くして失明し、江戸に出て山瀬琢一に鍼術を学んだ。江ノ島の洞窟にこもり、業の明けた日、大きな石につまずき倒れてしまうが、何か足に刺さるものを手にとってみると、筒のようになった笹の葉に松葉が包まっていた。こうして霊感を授かり管鍼術が考案された。その後和一は、京都で入江豊明にも鍼術を学び、再び江戸に戻り61歳で検校(盲人の最上級の官名)となり、鍼治学問所を開いて多くの弟子を育て世界初の盲人教育の場、職業の確立を進めた。5代将軍徳川綱吉は和一を「扶持検校として召し抱え、日夜自分の治療に当たらせた。綱吉は和一が、江ノ島弁天に月参りをして感謝しているのを不憫に思い、元禄6年に本所一つ目に1860坪余りの屋敷を授け、同6月18には弁財天像、先の屋敷内西側989坪余りに弁財天の社地を下賜した。当地下賜の逸話に、綱吉が和一に「何かほしいものはないか」と問われ、「ただ一つ、目が欲しい」との返答に当地が撰ばれたと言う。
 
5月18日前後の日曜日   江島杉山神社(℡03-3863-1308初音森神社)
              墨田区千歳1-8-2(JR・両国、都営新宿線・森下)
 

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