「ねぶた」というと青森を連想するが、ここ東京でも観客10万人を集めるねぶた祭りが立川市羽衣町で毎年行われている。青森出身者の縁で始まったものだが、2016年で第18回を数える夏の人気イベントに発展して来たものだ。
ねぶたの数は大小12基で、人形ねぶたは祭りが終わった青森県黒石市から運んでいるが、扇ねぶたは羽衣町自身で作成したものだ。
「はねと」と呼ばれる踊り手は募集によって集め、お囃子も実際に現地で学び、また現地から本場の人たちも応援に駆けつけて祭りを盛り上げる。こんな経緯で羽衣町は、黒石町に表敬訪問するなど特別な友好関係を持っているが、2007年には黒石市長がはじめて「羽衣ねぶた祭り」を応援のため上京したそうだ。
東京の新しい祭りとして今後の隆盛が期待される。
羽衣のねぶた風景
午後6時、ねぶたの祭り提灯で飾られた羽衣通り(東立川商店街)が完全に交通遮断されると、約500mの通り一杯に12基の「ねぶた」が配置される。
午後6時半、全ねぶたに点灯指示が下り開会宣言だ。安全祈願の手締めが終わると、本部を中心に東側に配置されたねぶたから本部に向かって進み始め、本部から各ねぶたの紹介アナウンスがある。
賑やかな太鼓と笛が鳴り響き「跳ね人(はねと)」がこれに合わせて踊りまくる。頭をさまざまな花で華やかに飾り、浴衣姿に赤い襷がけで或は輪になり或は散らばり、周りの観客もつい踊り出したくなるような、楽しいリズムだ。地元の小さな子供達も「ラッセーラッセー」と叫びながら行列に参加している。
太鼓と笛
笛
観客は沿道に溢れ、休憩中はねぶたの前で記念撮影を楽しみ、アナウンスもこれを促している。東側ねぶたの顔見世が終わると7時15分から15分間の休憩、7時半から西側に配置され、今まで静止していたねぶたが本部に向かって動き始める。
大勢の観客が開会前から詰め掛けて大変な賑わいだが、沿道のラーメン屋さんが青森の出身で9年前にねぶたを借りて始めたのがきっかけだそうだ。さして大きくも無い商店街の催しにしてはびっくりするほど盛大な祭りだ。祭りの今後の維持のためにアナウンスで観客の寄付も要請していたが将来のますますの発展を祈りたい。
黒石ねぶた
青森市のねぶたは人形ねぶた、盛岡市は扇ねぶたで、黒石ねぷたにだはこの両方がある。扇ねぶたは背面に描かれる見送り絵が大きな特徴で、表面に描かれる武者絵に対して美人画が描かれる。表面の豪華絢爛たる動の世界に対して、徹底してもの寂しさを追求する静の世界で観客はこの好対照な幻想の世界に魅了される。
羽衣町の地名の由来
古くは向郷と呼ばれていたが、昭和17年12月1日に羽衣町となった。原案では立川の一番東に当たり、朝日が昇る曙の意味で曙町だったが、現在の曙町に付けられる予定だった羽衣が「落ちる」イメージがあると飛行場を持つ軍からクレームが付き、羽衣と曙を入れ替えたと言う話しも伝わっている。
基本情報
日程: 8月第3金、土、日曜日
アクセス: JR南武線・西国立駅
場所: 東立川商店街通り(立川市羽衣町2-6-4)
連絡先: 042-528-3375(事務局)