勧請されたのが南北朝以前と言われる古い歴史を持つ尾久八幡神社の本祭は4年ごとで8月第1土曜日午後3時から6時まで、昭和5年に作られ大振りの延軒屋根、5段の龍頭の桝組を持つ台座3尺2寸の神社神輿が出御する。
日曜日には午前8時半から神幸行列が出発し神輿は鳳車に乗せられて氏子町内を巡幸し午後6時に還御する。神社神輿は、本祭りの2年後、いわゆる中祭りといわれる年にも出御するが神幸行列は催されない。
宮出し
土曜日2時45分、お祓い、祝詞奏上、玉串奉奠、発御式が終わると今まで鳥居の方を向いていた神輿を本殿に向け直し、拝殿前で出御前の挨拶、神輿長の注意などがあり、午後3時、木遣りの一節が高らかに謡われると直後、木が入り神輿が上がる。
真夏の空に白地に赤紋の入った揃いのハッピに身を固めた担ぎ手たちの姿が目に痛いほどだが、4年ぶりとあって張り切る氏子連に勇ましく担がれた神輿は境内を練ったあと、鳥居をくぐり都電「宮前停留所」を廻って小台方面に向かう。
今日は笛、太鼓、鉦が前に乗った台車で氏子に引っ張られる神輿
賑やかなお囃しが先導、花をあしらった菅笠を被り白衣に空色の袴で盛装した役員達、それに大きな御幣が続く。4年に1度の宮出しを見損なうまいと、沿道は氏子や見物人で溢れている。
尾久八幡神社
祭神は応神天皇。八幡信仰のもと尾久の総鎮守として人々と共に栄えてきた当社の創建は定かではないが、当社に伝えられている最古の棟札には至徳二年(1385)と記されており、勧請されたのは南北朝以前であることが知られてる。
華麗な神社神輿の宮出し揃いの白ハッピが目に痛い
日曜日は神幸行列だ。昨日担がれた立派な神輿は、今日は花笠、白衣の笛、太鼓、鉦と共に台車で氏子地域を隈なく巡幸する。台車は長い綱で氏子住民に引っ張られ、神社高張り提灯、神社旗、巫女、猿田彦命に先導され後には馬上の神官が従っている。
高張り提灯を先頭に進む神幸行列
ここの氏子、町会・自治会は35と広く、午前中尾久地域を巡幸して一旦神社に戻り、午後に再出発しては東尾久、町屋地区を廻り夕方神社に帰る。
猿田彦(さるたひこ)
古事記では猿田毘古神・猿田毘古大神・猿田毘古之男神、日本書紀では猿田彦命と表記する。ほとんどの祭行列の先頭に見られる。
猿田彦神は、天照大神の命令で天津彦火瓊瓊杵尊・瓊瓊杵尊・邇邇芸命(ににぎのみこと)が降臨の際、鈿女命・鈿女命天宇受賣大神を、天の八衢に出迎え先導し道案内をしたといわれる土地の神・土公神(とこうじん)とされている。
容貌は魁偉で鼻の長さは7咫、赤ら顔に長い口髭をはやし、目は八咫の鏡のように爛々と輝き、身長7尺余の神通力を持つとされた。
木が入り神輿が上がる、周囲は大勢の氏子観客に囲まれ劇場スタイル
基本情報
日程: 8月第1土・日曜日
アクセス: 都電荒川線・宮ノ前駅
場所: 尾久八幡神社(荒川区西尾久3-7-3)
連絡先: 03-3893-1535